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白内障手術はこわくない
体験レポート − 私の場合は − その4

案ずるよりも生むが易し

●9月26日 先は見え見え、本づくりの秋

 昨日の午後、製本屋さんから本が届いた。早瀬正男著『謎の古代豪族「尾張氏」の誕生―守山白鳥塚古墳の歴史像復元―』。守山区上志段味にある同古墳が尾張氏の“出発点”となっていたことを明らかにした本だ。

 昨年から白内障と闘いながら何点かを出してきた。これが手術直前となった本で、最悪の状態の中での本づくりだった。編集や校正などに普段の3倍以上の時間がかかってしまった。

 こうしたこともあって、1点は2校をしながら、ストップしたまま。もう1点は手もつけられず、先送りとなっている。とりあえず宙ぶらりん状態の渡辺誠著『目からウロコの縄文文化―日本文化の基層を探る―』を10月末までに出さなければならない。

 何かと著者にご迷惑をおかけすることも多かったが、本当にありがたいことに手術はうまくいった。これが不調だったら、どうなっていたことか。これまでの遅れを一気に取り戻したい。

 余談だが、先のデータを見た人が「肝臓はめちゃめちゃいいか、すでに壊れとるかも」とのメールをくれた。γ-GTは31だったが、75以下が正常だそうな。これが肝臓の指標とはまったく知らなかった。言われてみれば普段からしている“強肝法”が功を奏しているのかもしれない。

●9月27日 頭かいぃーっ、早く来い“解禁日”

 午前中に目医者さんへ。依然として“ウサギ目”だが、経過は順調とのこと。抜糸してもらう。

 このごろ頭がかゆくて仕方がない。ぬらしたタオルでふく程度では頭皮までぬぐえない。無意識のうちに頭をかきむしってしまう。

 29日まで洗髪はご法度なのだ。それまでは何が何でもいい患者でいたい。意識し出すと余計にかゆくなるようでもある。

 午後から同朋大学オープンキャンパスの一環として、大学周辺の史跡案内を頼まれていた。参加者のうちの一人から「目が赤いですよ」と言われ、「白内障の人がおられたら、すぐに手術すべき」とお勧めしておく。“ウサギ目”は初対面の人をしばしば驚かせてくれる。

 夕方、日帰り温泉へ。髪を洗えないから、湯船につかるだけ。頭のかゆさでいい加減、頭に来ている。

 この日支払った料金は4400円。抜糸は簡単なようだったが「手術」で、その大半を占めていた。目薬3種各1本、拝領。

●9月29日 死んだらレンズ、あゃーます(あげます)わ

 手術前はすぐに目が疲れた。片方に負担をかけるから、余計だったのかもしれない。目薬をさしたくらいでは回復せず、1時間か2時間おきに10分か15分、イスにもたれて目を閉じていなければならなかった。

 本を読む、原稿を書く、パソコンをいじる。この仕事、体こそ使わないが、目は酷使しずめだ。その片方の目が白内障だというのだから、事態は本当に深刻だった。

 手術をしたらそれがスカッと解消した。いまは拡大鏡も長イスも無用の長物。こんなに劇的に見えるようになるとは、悩んでいたころ想像すらしていなかった。

 先生に尋ねたわけではないから知らないが、眼内レンズはキャノンなどのカメラメーカーのものらしい。僕の目にはどこのメーカーのレンズが入っているのだろうか。先生の“神の手”にも感心したが、カメラメーカーもいい仕事をしてくれている。

 このレンズ、100年以上も持つらしい。その五分の一も使えればありがたいが、えらい時代になったものである。いまを生きていることに感謝したい。

●9月30日 メデタイ、メデタイ、完全復活!

 長々と書いてきたが、そろそろ終わりにしよう。左目は元通りに“回復”するどころか、新たに“開眼”したような思い。患う前以上に、よく見えるようになった。

 いまや白内障は恐れるに足らずだ。手術は痛くもかゆくもない。料金は3割負担の国保でも6万円ほど。各種保険に入っている人なら“病気成金”にもなれる。

 白内障と思いながらも決断のつかないあなた、これからなるにちがいない予備軍のあなた。案ずるよりも産むが易し。ピンボケになり出したら迷わず医者へ行き、スバッと料理してもらおう。

 かく言う筆者も逃げに逃げていた。それがどうにもならなくなって手術を受けたわけだが、いまにして思えば随分無駄な時間と労力を費やしていたものである。同じような愚を味わわないでほしい。

 心配だった“ウサギ目”も日に日によくなってきた。先生の「心配ないですよ」の言葉通り、いまにも消えてなくなりそうである。1カ月ごとに3回ほど検査があるらしいが、問題になるようなことはないにちがいない。

 明日から早くも10月で、今年も残すはあと3カ月。随分、不自由な生活を強いられてきたが、少なくとも目だけに限れば“明るい正月”が迎えられそうである。メデタイ、メデタイ。

 

 

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