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名古屋弁講座 その27

「かやかや」

すっきり、さわやか 語感がいいね

 親友の成瀬君が「なごや百人一首」に3首も載ったと言って『エエなもなごや』という本を持ってきた。地元名古屋のよさを再発見しようと「グループはてな」が募集、集まった中から100首を選んだそうな。

  内心「一人で3首も? 応募が少なかったんだにゃーか」と思わぬこともなかったが、そんなことはおくびにも出さず、「ほりゃ、すげーこったがね」と素直に喜んでおいた。

 「あったがね あったがね、ほら名城の
        屋根にかやかや 金シャチござるがね」

 「あんたとよう ゆわえられとる あきゃーひぼ
        わしゃ百まで おみゃー九十九まで」

 「おみゃあさん 熱田さんに 行こみゃあと
        みゃあにちみゃあにち ありがとうえも」

 声に出して読んでいるうち、手を入れてみたくなってきた。最初のものは字あまりが気になる。真ん中のものはなかなかの秀作だが、名古屋色がない。三つめは素直すぎる。

 いや、そんな批評をやっている場合ではなかった。今回の名古屋弁講座は成瀬さんが持ち出してきた「かやかや」について。これはいかにも名古屋弁らしい言葉だ。

 「かやかや」はこうこう(煌々)として明るいさまを言う。成瀬さんは金シャチの光り輝く様子を方言の「かやかや」で表現したわけだ。真夏の太陽がぎらぎら照りつけるときなどにも「きょーは朝から、おてんとさんがかやかやだで、もたんなあ」などと言ったりもする。
 
 真夏の太陽は「ひどるい」。金シャチもまともに見ると「ひどるい」。「ひどるい」は「まぶしい」意味の名古屋弁だが、「かやかや」と「ひどるい」は親戚みたいなものだ。

 しかし、この「かやかや」が本当に実力を発揮するのは明るいときではなく、暗い中にほのかな明るさを見つけたときだ。暗闇の中の光明。これこそが「かやかや」の真実の用法であり、そこには名古屋人の繊細で豊かな心が秘められている。

 「今日は満月きゃあ。かやかやだで、きゃーちゅーでんとー、いらなんだなあ」
 「あそこのきゃーしゃはいつもおっそーまではたりゃーてござる。あのビルで12時すぎてもかやかやなのは9きゃーだけだがや」

 暗いはずの夜も満月の日は明るい。深夜になってもビルのワンフロアーだけは明かりがついている。そうした光はたとえ弱々しくはあっても、周りが暗いだけに「かやかや」なのである。

 そういえば、はげ頭もよく光る。「ちょっとしゃぐりゃーで、山ちゃんおらんか。来てまうとかやかやしてえーで」。こんなことを言ったりもする。すると人気者の山ちゃんが「やっぱりおれがおらんと、しゃけぐりゃーだろお」と言って座を明るくしてくれる。

 このように明るくさわやかな語感を持つ「かやかや」だが、では、どこから出てきた言葉なのだろうか。本欄では名古屋弁の意味や用例などを紹介するにとどまらず、深く語源までに追求するよう心がけている。が、これは分からないケースが多く、なかなかやっかいな作業だ。

 今回の「かやかや」もその一つ。感覚としては分かるが、語源はさっぱり分からない。「がやがや」なら騒々しいさまとして辞書にも出ているし、「そーだがや」「ちがうがや」の「がやがや」は名古屋人にお馴染みなのだが、さて「かやかや」となると……。

 山田秋衛編『名古屋言葉辞典』は「かやかや」を取り上げ、「かがやくの変化」としている。が、どう変化させると「かやかや」になるのか、いま一つ納得できない。この他に語源にまで迫った類書はない。どなたか分かった人があったら、逆にこっちに教えてちょ。

 ついでに、冒頭であげた「なごや百人一首」、今度はカルタになるそうだ。成瀬君の喜ぶ姿がまた見られそうである。

 


 

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