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名古屋弁講座 その2

「みこ」

 

言われてみれば、確かにあった言葉?

 「みこ」は通常「みこがいい」とか「みこが悪い」とかという形で用いられている。意味は「評判」とか「人気」などで、相手の受け取り方を評して言う。この語源について伊藤義文著『ザ・尾張弁』は「見込み」の下略語、としている。

 「おみゃーは横着ばっかしとるで、先生のみこがわりぃーわ。まーちょっとおとなしくしとれんのか、コラッ」

 父兄会から帰ってきた母親に、こう言ってしかられたほろ苦い思い出を持つ人も多いのではないか。そう言えば昔はPTAなどとは言わず、もっぱら父兄会だった。そして、この「父兄」会に来るのは名称とは裏腹に「母」親が圧倒的であった。

 「みこ」は子供同士でもよく使った。「あいつは○○先生のみこがええ」とけなるがったり、逆にその人に対して周りの者が「みこ、みこ」とはやし立てたりもした。特に小学校の高学年のころ、この「みこ」が盛んに使われていたように思う。

 この言葉も若い人の間では滅多に聞かれなくなった。いや、若い人どころか三、四十代の人でもまず使わない。しかし、注意深く観察していると、年配者の口からはぽろっとこぼれ出たりすることもないわけではない。

 先日、友人と居酒屋で飲んでいた。隣りの席に座った四人連れのグループはやがて会社内の話をし始め、メートルが上がるにつれて次第に盛り上がってきた。そんな中で発言した人の年格好はぼくとほぼ同じ五十代の前半ぐらいだったか。

 「そうか、山田は部長のみこがえーでな。お前にはいかんと言ったけど、あいつは何にも言われずに通っとるか」

 四十代とおぼしき男のこぼしたグチに対し、彼は「みこ」を使ってこう受けたのであった。聞くともなしに聞いていると−−いや大きな声で話すので、そのつもりでいなくても聞こえてしまうのだが−−どうやら交際費の使い過ぎで、年下男は部長から文句を言われてしまったらしい。

 「そーいや、おれもだがや。こにゃーだ、タクシーで(家へ)帰ったら、すぐ怒られてまってよお。山田だって、よー使うだにゃーか、なあ」

 別の男がこう言って相槌を打った。どうやら部長の「みこ」の悪い人たちの集まりのようだ。なるほど、そういう状況では縁遠いと思っていた「みこ」も自然に出てこようと言うものだ。

   『ザ・尾張弁』の著者伊藤さんに確かめると「普段の会話ではあまり使われないけど、それでもときどき耳にすることはありますよ」とのこと。お茶やお花を習っているご婦人方がお稽古を終わってほっと一息、近くの喫茶店などで雑談に興じているときなどに出たりする、とか。そう言われてみれば、これも「みこ」の出やすい場面ではある。

 ♪ミコ、甘えてばかりでゴメンね、マコはとっても幸せ〜なの

  ……「みこ」についてコーサツしていたら、突然、脳裏にこんな歌が浮かんできた。かつてのベストセラー『愛と死をみつめて』を歌った、あの青山和子のヒット曲だ。あれ? 歌詞があやふやだけどミコとマコは逆だったかな、「とっても幸せ〜なの」ではなく「さびしかっ〜たの」だったかな。

 そんな歌、知らないって? オジサンは「みこ」を知っているから、こういう古い歌も出てくるんです。この歌を知らない人の口からは多分「みこ」という言葉が出てくることはないにちがいない。

 


 

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