「美濃徳山村通信」は「徳山村の自然と歴史と文化を語る集い」（通称「徳山村ミニ学会」）が月刊で発行してきた会報。長年くすぶり続けてきたダム問題も大詰めを迎え、すべてが水没してしまう危機感の中から生まれてきた。村民や研究者らが最も燃えていたころのものだ。

　第一巻は１９８４年２月２１日発行の「創刊号」から１９８５年６月２５日の「１２号」までを、第二巻は同年７月２３日発行の「１３号」から１９８６年６月３０日発行の「２４号」までを収録。徳山関係の新聞記事まで入れられており、これも当時を知る貴重な資料の一つとなっている。

　あまりに膨大な内容のために目次の紹介は差し控えるが、ダムに沈む村の記録が徳山村ほど残されたケースはなかろう。これもひとえに「語る会」のメンバーを中心とした村人らの活動に負うところが多い。たとえ村は沈んだとしても、祖先たちの足跡までは無にしないという、そんなふるさとへの熱い思いが伝わってくる。