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■太閤秀吉葬式行列図の謎
こんなのがあった!彩色された行列図

 古書展で秀吉の葬列を描いた絵を買い求めた。B4判よりやや小さいサイズ(縦23.3×横33.5センチ)の8枚から成り、カラーで多くの人物が描かれている。そこには参列した武将の名前と供の人数、有力武将にはさらに石高や位までも記されていた。

 これを見たとき、まさかこんな絵があるのか、と目を見張った。というのも、秀吉の葬儀が盛大に営まれたことは当社で出版した滝喜義著『前野文書が語る戦国史の展開』で知っていたからだ。同書は小牧市内の人が所蔵する「豊臣太閤葬式行列記」なる文書を写し、「行列順序は豊家家臣団のポストを知る資料」とされていた。

 入手したものの出品者は分からず、聞こうにも聞けない。絵自体を見ても題名や作者、版元、発行年などをうかがわせる手掛かりになりそうなものはなかった。意外に高かったが、思い切って買うことにした。

 絵に描かれた参列者はみな正装し、下を向いて悲しみを表している。人物の顔や手足、装束などにはそれぞれ彩色され、茶色くなった紙全体には細かい金粉がちりばめられていた(その多くは剥落)。虫食いや特筆するほどの傷みや汚れもなく、保存状態はよいと言える。

 これを手に入れてから、にらみっこをし続けることになった。『前野文書が語る戦国史の展開』には多くの武将の名が出ている。それに比べると、こちらは圧倒的に少ない。第一、ここには秀頼や淀殿、政所殿(北の政所)などが入れられておらず、行列のごく一部にすぎないことも分かってきた。

 この葬式行列は断片でしかない。他にも同様に描かれたものがまだ何枚もあったはずである。もしも全体がそろっていたら、もっとすごい行列風景になっていたはずだ。

 8枚の中にある人数を数えてみた。何度数え直しても数が違ってくるが、だいたいのところは550人前後と思われる。『前野文書が語る戦国史の展開』に取り上げられているのは武将(一部に僧侶や連歌師、茶師などを含む)だけでも194人の名があり、それぞれの供の者の数を加えるととんでもない人数になる。

 様々な疑問を抱えて本やインターネットで調べてみた。また、葬式行列の古文書などがあると、ヤフオクなどで手に入れた。しかし、文字ばかりで絵のあるものはなく、謎はいよいよ深まるばかり。ついには国会図書館や岩瀬文庫へ行くことにもなった。

 

 


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