著者佐藤正明氏は中日新聞の２面（政治面）で一こま風刺漫画を書いているおなじみの人物。その彼が感動詞をキーワードにして一語一語に漫画を添えた文画一体のぜいたく極まるエッセイ集。その「まえがき」に曰く。

　「人類が最初に発明した言葉は感動詞かもしれない。人間が生まれてくるとき、オギャーオギャーと感動詞から人生が始まることを考えると、系統発生的にもそうにちがいない。

　しかし『オギャーオギャー』が単なる泣き声で、肺呼吸の始動であると言われればそうかもしれないが、見ず知らずの世界に投げ出されれば、だれでも驚くので感動詞が含まれていると考えられなくもない。『人の世や　ああに始まる　広辞苑』などという川柳もあるほどだ」

　『広辞苑』に対抗したわけではないが「ああ」「あーあ」「ああん」「あっ」「あっぱれ」など「あ」から始まり「よく言うよ」「ラッキー」に至るまで、数多（あまた）の感動詞を集めて面白おかしく解説している。そのうえ『広辞苑』にはない軽妙な漫画まで付けた、まさに佐藤正明ワンダフルワールド。（ある人から「これが売れなかったら、出版社の責任ですよ」と言われてしまったが……ゴメン、売れずに）

――だまっている奴は物騒だ。騒ぎたてる奴はそうでもない　　ラ・フォンテーヌ。