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■【探索】名古屋西部の鎌倉街道〈付〉柳街道
“幻の道”名古屋西部の鎌倉街道を歩こう!

 京都と幕府の置かれた鎌倉とを結んだ鎌倉街道――。全体的に見れば、後の東海道の前身にもなるものだが、名古屋市内を通るこの街道はいま幻の道となってしまった。それだけにこの古道には探し出すという楽しみもある。

 昨年4月28日、名古屋歴史懇話会では例会にこれを取り上げ、みんなで話し合った。江戸時代の村絵図をはじめ各種の地図、資料などを持ち寄り、あーでもない、こーでもないと、いつも以上に盛り上がった。それには地元中村が中心だったことや、メンバーの多くが年配者だったことも大きかったか。

 そして翌日、中区の金山駅からかつて宿場のあった萱津まで、前夜の話も思い出しながら、みんなで歩くことになった。多くの目で見回すと、一人では見えなかったものも見え、いくつもの発見があった。本書はその報告集であり、例会と散策会の成果でもある。

 いま名古屋歴史懇話会ともっともらしい名前を挙げたが、その実態は居酒屋で毎月1回開いている飲み会に過ぎない。毎回、歴史好きが10人前後集まり、郷土史を肴に飲み食いしている。こんな集まりだから、名前負けしているとの思いも、われわれ身内にもないわけではない。

 会では略して“ナゴコン”と言っている。文字は違うが、若い人たちの“合コン”にひっかけたもの。堅苦しい教室での勉強会とは違い、酔っ払った勢いも手伝って、気軽に話し合えるのもいいところだ。

 こんな会だから真面目なことをばかばかしく、ばかばかしいことを真面目にやっている。その中から生まれたのが本書である。基となった原稿は散策の後、会報を兼ねた「名古屋なんでか情報」に連載してきたもので、本にするに当たっては再度、点検と検討を加えた。関心のある人の参考になればうれしい。(平成25年9月1日「はじめに」より)

 

この道は1日で歩ける面白コースだ!

◆…今回の散歩は野山の街道を歩くのとはちょっと違っていた。あまりにも古く、しかも、都会の中とあって、はっきりした道筋すら分からない。初めはどうなることやら……と思っていたが、何とか古渡から萱津までを歩き切ることができた。多くの仲間とともに歩いたおかげである。

◆…都会の中では殺風景と思いがち。が、実際に歩いてみると、面白い発見がいくつもあった。ここの鎌倉街道はかつての道を探し出す面白みもある。街道散歩は一人で物思いにふけりながら歩くのもいいが、今回のようにみんなでわいわい言いながらするのも楽しい。

◆…特に今回はあちこちに迷いながらも、それなりの道を見つけ出せた。これには地元に詳しいメンバーの落合満さんと青山武雄さんがおられたのも大きい。このお二人がみえなかったら、果たして萱津まで一日でたどり着けたかどうか。

◆…みんなで現場に立つと、いろいろな意見が出る。中川運河近くの石切場で出た「笈瀬川を使って上流の名古屋城近くまで運んでいったのでは……」という話もその一つ。加藤清正と言えば大勢の人による石曳きで有名だが、熱田からのそれはパフォーマンスとして行ったもので、普段、石工や関係者らは黙々と働き、少しでも楽で合理的な方法を選んでいたにちがいない。

◆…実際に歩いたはずではあったが、いざ本にするとなると、何かと難題が出てきた。鎌倉街道の通っていた線を一本引くにも、どこをどう通したらいいのかで苦労させられた。意外に難しかったのが中村から東宿にかけてのところで、古い地図や新しい地図とも見比べながら、いろいろ考えさせられた。

◆…柳街道を案内していただいた「中村区まち歩きマイスターの会」の高橋治之さんにも、本にするに当たってはいろいろとアドバイスしてもらった。これによって疑問に思っていたことのいくつかが解決できた。高橋さんは会のリーダー格のお一人で、中村区内については一番お詳しいのではないか。

◆…その後、原稿のチェックもあって、柳街道も何回か歩くことになった。このとき、時間を変えて午前中に歩いたこともあったが、同じところでも光の加減で違った風景のようにも見えてきた。時間や季節を変えて歩いてみるのもまた面白い。

◆…巻末に名古屋西部の地図を入れておいた。その多くは筆者の持っているものだが、いくつかは会員から提供してもらったものもある。こうして並べてみると、江戸時代は城下の郊外として人家もまばらだったが、駅ができ市域の発展につれ、今日見られるような姿に近付いてくるのがよく読み取れる。

◆…遠くへ行くばかりが旅ではない。足下にも気付かないでいることは意外に多い。よく言われるように、あの角を曲がれば旅心、だ。ぽっかり空いた日でもあったら、一度、名古屋西部の鎌倉街道や柳街道を歩いてみてはいかが?

◆…“ナゴコン”名古屋歴史懇話会は毎月第四土曜日の午後6時から地下鉄「亀島」駅近くの居酒屋でやっている。毎回、その道に詳しい方をお迎えし、まず初めに1時間ほど話をしてもらい、その後、意見や感想を述べ合ったり、ゲストからの補足説明などもしてもらうことになっている。飲食の席なので堅苦しくないのも、この会のいいところか。

◆…始めてからまだ2年と言うか、もう2年と言うか。この間にいろいろな話が聞けた。また、公開講座と称して一般向けに講演会を開催したり、仲間内で史跡見学会を行ったこともある。何しろ、遊びでやっていることなのでどうなるか分からないが、続けていくうちに何かが生まれてくればもうけものである。(編集後記「えんぴつ」より)

 


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