マイタウン(MyTown)| 一人出版社&ネット古書店 |
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<だれもが食べているのに、何も知らないでいた。ご当地ラーメンとそれを生み出した味仙について書かれた初めての本。以下は本文の「名古屋ラーメンとは」「ネーミング考」から抜粋。> 名古屋ラーメンとは それでは、名古屋地方にもご当地ラーメンはあるのかというと、実はある。あるのだが、名古屋ラーメンという呼び方はしない。愛知ラーメンともいわない。台湾ラーメンという。 ええ? あの台湾ラーメンが名古屋のご当地ラーメン? と、いぶかる人もいるかもしれないが、台湾ラーメンは名古屋で生まれ、トウガラシとニンニクを効かした豚ミンチを使って激辛に仕上げるレシピはどの店でも共通している。 そして、名古屋人に広く愛されている。現在、名古屋市内にある約480軒のラーメン店のうち、250店以上が台湾ラーメンを出している。これはもう名古屋のご当地ラーメンといっても十分な数字であろう。 それについては次のような笑い話がある。 食いしん坊の名古屋人Aさんが、食の宝庫といわれる台湾へ食べ歩きの旅に出かけた。台湾は距離的にも金銭的にもいちばん行きやすい外国といえる。それに、なんといっても親日的なので、プライベートな行動をしても安心だ。 小籠包(ショウロンポウ)や担仔麺(タンツーメン)、台湾スイーツなどを食べ歩いた。いよいよ最終日になって、あることに気付いた。 「そういやぁ、あの激辛の台湾ラーメンをまだ食べてないぞ。せっかく本場にきているのだから、味仙以上の台湾ラーメンを食べてみたいものだ」 いろいろ聞いて、あちこち探しまわったが見つからない。とうとう帰りの飛行機に乗る桃園国際空港まできてしまった。 失意のまま、飛行場のロビーを歩いていたとき、なつかしい香りが鼻先をくすぐった。ニンニクとトウガラシの混ざった強烈な匂い。 「これだ! こんなところにあったのか。やっと見つけたぞ。本場の台湾ラーメン、ひとつください」 意気込んで注文すると、店員が「お客さま。これは台湾ラーメンではありません。名古屋ラーメンといいます」 ネーミング考 この激辛ラーメンはなぜ台湾ラーメンと呼ばれるようになったのか。そのことについては以下のようないきさつがある。 この麺料理をつくったのは名古屋・今池の台湾料理店「味仙」の郭明優さん。最初は店の内部の人たちが、小腹がすいた時に食べるように、台湾の担仔麺をまねてつくっていたまかない食のようなものだった。(以下、略) |