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■香流川物語

 著者からのメッセージ

 この地区に3度の大波が打ち寄せた

 長さわずか15キロメートルに過ぎない香流川の小さな河谷に、大きなできごとが3回起きました。その最初は1584年の長久手合戦でした。万余の将兵が死力を尽くして戦い、多数の死傷者を出しました。この戦いは局地戦であったといわれていますが、もし家康が敗れていれば、後の江戸幕府もなかったわけです。衝撃的なこの事件の結果、長久手の名は日本中に知られるようになりましたが、地元の住民が受けた苦難については、あまり伝わっていません。

 名古屋築城に伴って、大きな城下町が出現しました。この影響は尾張全域に及びましたが、それまで後進地域であった尾張東部の村々が、城下町との交易を通してその恩恵を受け、人口が増加しました。しかし、名古屋の市街地が東方へ膨張し始めたのは、明治になってからです。当初、その動きはゆっくりとしたもので、現在の千種区全体が市街地化したのは1950年ごろでした。

 1955年に猪高村が名古屋市に合併され、その後の経済成長の波に乗って、第二の衝撃がこの地域に押し寄せました。東名高速道路の名古屋インターの開設・地下鉄の藤が丘駅までの延長・グリーンロードの開通・愛知青少年公園の開園・名東区の独立など、60年代の半ばからわずか10年ほどの間に、目白押しの変革が襲いました。地元住民にとってもっとも深刻であったのは、何百年もにわたって続けてきた、農業による生活との決別でした。

 香流川流域にとって、まさに有史以来の激変となったちょうどその時期、私は長久手に居を構え、猪高中学校に勤務することになったのです。当時の詳細は本書の「あとがき」に記したとおりです。私の最大の気がかりは都市化による流域の自然環境の破壊でした。しかし、それらから30年後、第三の衝撃がやってくるとは、予想だにしませんでした。

 2005年「自然の叡智」を掲げて愛知万博が開かれ、2200万人が会場に殺到しました。そして、この地域は日本ばかりでなく、世界の人々が注目することになりました。万博の会場や運営の方法について、幾多の曲折がありました。愛知青少年公園が主会場と決定したとき、香流川の小河谷が下水の処理や交通の混雑などに耐えられるかと心配でした。事実、会期末期には、香流川の汚染が新聞に報道されたこともありました。しかし、青少年公園の建設当時とは、世間の環境に対する意識が大きく進んでいました。万博会場の建設や運営には、環境に対する深い配慮が払われました。

 万博の開催に伴い、香流川流域に対する関心が高まり、本書の購読を希望される方々が増えました。そこで『矢田川物語』や『千種村物語』と同様、マイタウンの舟橋武志さんにお願いして、復刻再版していただくことになりました。本書を「万博が開かれた前史」として、『猪高村物語』や『長久手の地名』とともに読んでいただくとともに、地域の未来にも関心を持っていただければ、著者としてこのうえない喜びです。

 

 


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