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■尾張国神社考

 神社の祭神や来歴は分かっているようで、その実はっきりしていないことが多い。こうした混乱は古くからの伝承が時の流れとともに忘れ去られ、あるいはまた、権威づけのため故意に作り出されるなどしてきたためだ。

 筆者津田正生(まさなり、1776―1852)は冒頭で「元和寛永の頃に名勝、古跡及神社に手を入れて偽作する人、国々にありて、碑石を営(こしらえ)て密に土中に埋みおき、後年、掘出して世にもてはやす」「文化文政に及びて人情一、二等卑劣におち、天保にいたりて四、五等くだりて、社人はおのが昇進のたよりに式社の名目を欲(ほし)がり、由縁もなき新宮を式社と偽るたぐひ多し」などと嘆いている。

 尾張国内の神社を考察したものに『塩尻』の著者として知られた天野信景(さだかげ、1661―1733)の手になる『尾張神名帳集説』という一書がある。本書の著者である津田正生はその業績を高く評価しながらも「初考の習ひ、疎漏過失(てもれあやまち)がなきにしもあらず」として、その改訂を思い立った。津田は天野より約100年後の人であり、その著『尾張国地名考』はあまりにも名高い。

 彼は海部郡佐織町の出身で、通称神助、また六合庵とも称した。酒造を業として家運は大いに栄えたが、学問を志して国学者の鈴木朖(あきら、1764―1837)のもとで和漢の学を修めている。

 彼の研究姿勢は現場主義とも言える実証精神になった。調査のために尾張国内を歩き回り、その地の人と親しくなるため小屋を作って道行く人にお茶を振る舞うほどの徹底ぶり。あるいは自ら知多万歳を習って演技し、その後に古老などから取材することもしばしばだった。

 本書に納められた神社の解説にも、こうして集められた情報が多く生かされている。天野信景や松平君山(『張州府志』編者の一人)、中尾義稲(よしね、『尾張志』編者の一人)など高名な学者の意見とともに、「里老曰」とか「村人曰」として地元で語り継がれてきたことも多く紹介している。

 本書に取り上げられている神社は式内、式外あわせて200余にも及ぶ。原題は『尾張神名帳集説本之訂考』だが、その代表作『尾張国地名考』にあわせ『尾張国神社考』と改題した。100部出版。

 

 


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