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■図説違式カイ、言偏の右に「圭」違条例

西欧化へ明治政府が強権発動
条例で旧来の因習・風習の一掃を目指す

 「富国強兵」は明治新政府の“発明”した言葉のように思われている。しかし、これはすでに幕府が使っていたものだ。押し寄せる西欧列強の圧力を前に、近代化の必要性を最も痛感していたのは当の幕府自身だったのである。

 薩長を中心とした新政府は暴力的とも言える方法で、権力を幕府から奪い取った。しかし、その運営に当たっては旧幕府側の“知恵”に頼らざるを得なかった。こうしたことから「明治維新などなくても、日本は近代化できた」との見方すらあるほどだ。

 本書に取り上げた条例は新政府が旧来の悪しき風習や習慣を一掃する目的で出した。その内容を「愚夫婦頑児等」に分かりやすく伝えるため、新聞などを通じて絵入りで広めるように奨励された。背後にはこれから進める西欧化を強く意識し、彼らの目に奇異に映りそうなものを改めさせることにあった。

 条例は明治5年に定められ、全文90カ条から成っている。それまで当たり前のように行われていた男女の混浴はもちろんのこと、人前で裸になること、入れ墨をすること、その他様々なことにまで目を光らせた。庶民にとっては迷惑な話も多く、大阪では同10年になってやっと施行されたほどである。

 この実施に伴って風呂屋では混浴が禁止された。これを守ると客足が減り、店側からも不評だった。文明開化のかけ声の中で、失われてしまった風習も少なくない。

 地元愛知県では早々とこの普及に乗り出した。本書に収録されたのは「愛知週報」が付録として出した「図解」である。同紙は題名のように週刊で発行されていたばかりか、東海地方を中心に東京や京都・大阪などでも発売されていた。

 本書にはこの絵入りの条例も転載されているが、当時の時代的背景をうかがい知る新発見の史料も収録されている。三重県菰野町の人が書き写した「民権党宣言」(仮題)がそれ。新政府を作った彼らが真の愛国者ではなかったため専制に陥り、これを激しく糾弾する内容の文書である。

 著者の鬼頭勝之さんは「薩長が政治家として成長してゆくには明治22年の憲法制定にまで待たなければならなかった。ここに紹介した違式カイ、言偏の右に「圭」違条例は庶民の意識改革をしようと、その過程で登場してきたもの。これは近世法と近代法との狭間にあり、研究者からも忘れ去られてしまっている」と話している。過渡期の側面史を知る貴重な史料となるのではないか。

200部発行、定価1500円+税

 

 

 


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