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古文書に強い鬼頭さんの労作
宗春研究の難しさは蟄居謹慎処分により、関係史料が抹殺されてしまったことにある。しかし、いくら隠し通したとしても、隠し切れるものではない。そうしたものをこつこつ見つけ出し、丹念に読み解いていくところに宗春研究の面白さの一つがあると言えようか。 そのためには地元名古屋にいることと、古文書を解読できる能力が求められてくる。著者の鬼頭さんはまさにその二つを兼ね備え、宗春研究の最先端を走ってきた。下記のテーマを納めた本書は新たな真実に迫ったものとして注目に値する。 これまで宗春は突然変異的に現れたと見られがちだった。著者は各種古文書からそれ以前に宗春を生み出す社会情勢があったとし、「出るべくして出た、時代の申し子」だったと指摘している。もし仮に宗春が藩主になっていなかったとしても、尾張ではこれに似た政策を採る人物が出ていたかもしれない。 〈付〉として入れられている3編もなかなか興味深い。尾張藩における忍びや山伏の研究はその難しさからほとんどなされてこなかったが、これも古文書などを見つけ出して実態の一端を明らかにしている。藩祖義直の生母お亀の方(相応院)の出自を戦場などにもお供した“御陣女郎”だったとし、彼女を軸に重臣として志水氏などが取り立てられていったとする考察も説得力に富む。 本書の内容は以下の通り。本はB5判・148頁・税込み2625円(200制作) 一、近世尾張の一断面―『夢の跡』と宗春
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