活用しやすいよう、拡大して復刻

　当店の主宰で十数年前から毎月一回「古文書に親しむ会」を開いてきた。その参考 資料の一つとして先に文久4年（1864）刊の『改正御武鑑』を復刻したが、これは街 道に沿って諸国を紹介した小冊子だった。会員の中から「もう少し詳しいものがほし い」とか「幕府の役職や役人名も知りたい」などとの意見もしばしば聞くようになり、 それに応える形で作ったのが本書である。

　武鑑は数種類を持っているが、巻数の多いのは使いにくい。『泰平御武鑑』を選ん だのは手ごろなボリュームだったし、文政6年（1823）の刊行で前との時代差もある。 そしてもう一つ挙げるならば、この武鑑はあるようでなく、非常にめずらしいことに もよる。

　制作するに当たっては複数の武鑑をそろえ、状態のよいところを選んで版下にする とよかったが、手持ちのもの以外にとうとう入手することができなかった。30丁目が 少し欠けていたり、見づらいところがあったりするのも、このためである。復刻に際 しては読みやすいよう拡大（135％）したが、文字などのかすれや虫食い跡などがあ る点はご承知おき下さい。

　今回はわずかばかり作ったが、同じものが新たに入手できれば、よりよいものにし てゆきたい。とりあえず前回の『改正御武鑑』同様、ご活用いただけたらありがたい。

Ａ５判・袋とじ８８頁・２３８１円＋税