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豊富な図で江戸時代の刑罰を紹介 今回復刻された『政刑秘鑑』は目録に「刑罪大秘録」とあり、嘉永3年(1850)に浅井某が筆写した時点で題名を変更した可能性が高い。しかし、その理由は不明である。 『刑罪大秘録』は部分的には『古事類苑』に復刻されている。しかし、本書の方がより正確であるのは言うまでもない。 従来紹介されている江戸時代の刑罰の図譜は孫引きが多く、図版が不鮮明なのが難点であった。例えば「死罪御仕置之事」の図中の穴の中に落ちている紐様のものが、本書によって初めて死罪の人が付けられていた「ノドナワ」であり、処刑寸前に「キリステル」ものであったことが了解されるのである。 かつ「獄門図」のように『古事類苑』では幟が何の説明もなく描かれているが、本書では幟の横に「引廻シ無之ハ幟無之」と記されていて、より正確な処刑場の理解が可能になるのである。また『徳川幕府刑事図譜本編』は図版が大きな点は良いが、カラーのために引用しにくいという難点もある。以上のようなことからも、本書を復刻する価値は十分にあると思われる。 古文書に親しむ会講師 鬼頭勝之
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