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『虚無僧闘諍一件』の解説と翻刻 日本の裁判の長期化は今日に始まったことでなく、『茶一件裁判の記録』(羽衣出版)によれば〈嘉永の茶一件〉では6年を要している。これは勘定奉行の支配下の事件であったが、解説の鈴木祐二氏は事件の発生と終結のみが叙述され、事件の真相が理解されていなかった状況を「野球のテレビ中継に喩えれば、1回と9回だけを放送して途中を伝えない」と評されている。この『虚無僧闘諍一件』はもっとひどい状況で、従来、9回(裁許文)のみしか知られていなかった。 天保15年(1844)から弘化4年(1847)の4年間に及んだ本事件は、寺社奉行が普化宗の本山一月寺に審問した経過を記した文書が日本大学総合図書館に所蔵され、また、岐阜の現地にも関連文書が残されているので、本文書が加わることによって事件の全貌が初めて明らかになるのである。この点での学問上の価値はいうまでもないが、幕府の政策転換の契機となった本事件の経過は今後、他の史料とも付き合わせることによって、より具体的に明らかになると思われる。 そして、全体的なことだけでなく個別的なこと、例えば陣屋の檻の役割、町奉行所では与力にあたる存在が小検使役と呼ばれていたこと、公事宿の仕事等、本記録でより具体的に明らかになることがあると思われる。 鬼頭勝之
【も・く・じ】
はじめに 尾張藩における虚無僧諸派の活動 尾張の虚無僧 濃尾における普化宗の活動 『虚無僧雑記』の解説 『芥見村虚無僧闘諍一件』の解説 裁許文の翻刻【第四冊】 裁判記録の翻刻【第一冊】 裁判記録の翻刻【第二冊】 裁判記録の翻刻【第三冊】 あとがき |