東海道から西に勢力を拡大する遠州の普大寺勢。 中山道に沿って南下する甲州の明暗寺勢。 二つの虚無僧集団が留場(縄張り)を巡り、 美濃の芥見村(あくたみむら)でぶつかり合った。 新たに見つかった史料により、 事件の全貌がいま初めて明らかに――。
幕府は死者まで出したこの事件をきっかけに普化宗の弾圧に乗り出した。事件の関係者らは江戸の寺社奉行から呼び出され、三度にもわたって出頭することに。本書には裁判の経過やそれに要した費用なども克明に書き留められており、当時の裁判制度はもちろんのこと、幕府や尾張藩の対応などを知るうえでも、きわめて興味深い史料となっている。