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消されてしまった神社、謎の香良洲社を追う 明治新政府による神仏分離と廃仏毀釈で、従来までの寺社のあり方が大きく変わった。選ばれた側の神社の中でも素性のはっきりしないものの多くは否定されてしまった。山の神や田の神をはじめとする土俗的で身近にあった神々が消えていったが、日常生活の中で庶民の信仰を集めていたのが案外、こうした素性も曖昧なものだった。 香良洲社もそんなものの一つともいえ、現在ではあまり見られなくなった。しかし、地名に「烏」の付くものがあったり、いまも「烏喰い」「烏喚び」などとといった神事を行っている神社もないわけではない。そうしたものの元をたどると、香良洲社にさかのぼるケースも多い。 本書は香良洲社に疑問を持った古老が東海地方を中心に、そのルーツを追った記録である。名古屋市中村区に「烏森(かすもり)」という町名があるが、著者は一般に言われている地名の由来「カラスが多くいた森」かち付けられたというのではなく、いま同地にある天神社が香良洲社から祭神を入れ替えられたのではないかと見ている。こうした香良洲社は中部を中心に各地にあったものと見られ、特に東日本には多かったらしい。 それではこの神社の祭神とは一体なんだったのか。著者の香良洲社を尋ねく旅が始まった。あまり記録に残されていないものだけに難儀なものとなったが、やがて古代人の信仰へと迷い込んでいくことになるのだった。 A5判・袋とじ88頁・1429円+税 |